私はもともと、いつかは独立したいと考えていました。会社に入る前からです。
エンジニアとして働くなら、会社員以外の選択肢もある。フリーランスという働き方には、就職する時点で関心がありました。だから会社員として経験を積みながら、いつかそちらへ移ることも視野に入れていました。
その「いつか」を具体的に動かし始めたのが、2023年3月25日です。この日、私は知人とカフェで話していました。フリーランスとして働くことについて、実際のところを聞くためです。
そこで言われたのが「実務経験が長いので、案件に困ることはない」でした。その5日後、3月30日にレバテックフリーランスのカウンセリングを受けます。ここでも、実務経験が3年以上あれば案件紹介には困らない、という説明でした。この日の1時間で何を聞かれ、何を説明されたかはレバテックフリーランスのカウンセリングを受けた記録にまとめています。
独立したいという気持ちは前からありました。足りなかったのは、いま動いて大丈夫かという判断材料です。 2人から同じことを言われて、私は退職を決めました。
ところが実際に探し始めると、1か月以上どこも決まりませんでした。
この記事では、なぜ決まらなかったのか、そして2年後の案件探しで何を変えたのかを記録します。
先に結論
実務経験の年数だけでは、案件は決まりませんでした。 では何年あればいいのか、年数の正体は何なのかは実務経験が浅いとフリーランスは厳しい?に書いています。
決まりにくかった理由は、4つあったと思います。
- 経歴書が弱かった
- 希望単価が、当時の経歴と釣り合っていなかった
- やりたい仕事と働き方を、狭くしすぎていた
- 案件の需要と、探していた時期が合わなかった
前の3つは自分で見直せます。しかし4つ目のタイミングだけは、どうにもなりません。
私は希望条件を少しずつ緩めながら探し続けました。そして最終的に、急募の案件とタイミングが合い、テックビズ経由で最初の参画が決まりました。
希望を変えたから決まったのか。それとも、たまたま需要と合っただけなのか。正直なところ、ひとつには絞れません。
「3年以上あるから大丈夫」と言われて退職した
独立そのものは、前から考えていました。だから2023年の春に私が確かめたかったのは、「独立するかどうか」ではありません。いま動いて仕事が見つかるのか、その一点でした。
知人と話し、エージェントのカウンセリングも受けました。そこで判断材料になったのが、実務経験の年数です。
私にはすでに3年以上の経験があります。だから案件紹介には困らないだろう、と考えました。
実際の日付を並べると、こうなります。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 3月25日 | 知人とカフェで話す |
| 3月30日 | レバテックフリーランスのカウンセリング |
| 4月13日 | 上司へ退職の意思を表明(所要20分) |
カフェで話してから、19日後には辞めると伝えていました。
短く見えるかもしれません。ただ、独立するかどうかを19日で決めたわけではありません。その気持ちは前からあり、動く時期を判断するのに19日かかった、というほうが近いです。
ただし、ひとつ事実として書いておきます。退職を表明した時点で、案件は1件も決まっていませんでした。 案件を決めてから辞めたのではなく、「大丈夫」と言われたから辞めた、という順番です。
決めること自体は、短時間で済みました。大変だったのは、そのあとです。
ただし、この時点では確認できていないことがありました。実際にどの案件へ提案できるのか。経歴書は書類審査を通るのか。私が見ていたのは、経験年数という入口だけだったことになります。
今思えば、退職を決める前に、案件の紹介や商談まで実際に進むかを確かめておくべきでした。
案件探しは、退職が決まってすぐには始まらなかった
退職を伝えたのが4月13日。退職願を出したのが4月27日。そして参画したのは7月です。
ここで補足しておきます。退職日は6月末でした。 会社と話し合って決めた日付です。つまり4月に退職願を出したあとも、6月末までは会社員として働いていました。
案件を探していたのは、この在職期間中です。 会社を辞めてから探し始めたわけではありません。
では4月中に案件探しを本格化させたかというと、していません。エージェントとのやり取りが動き出したのは、5月に入ってからでした。
理由があります。あるエージェントのヒアリングで、こう説明を受けました。
参画したい月の49日前から案件が出てくる。7月に参画したいなら、5月中旬ごろから。
さらに、参画するには退職日が確定していることが条件だとも言われました。この2つを逆算すると、動ける時期が決まります。
実際の流れはこうなりました。
| 時期 | 動き | 会社は |
|---|---|---|
| 4月27日 | 退職願を提出(退職日は6月末で確定) | 在職中 |
| 5月8日 | エージェントのヒアリング。「5月8日以降から案件を探す」 | 在職中 |
| 5月下旬〜6月中旬 | 企業との面談 | 在職中 |
| 6月13日 | オファー確定(月収60万円) | 在職中 |
| 6月末 | 退職 | — |
| 7月 | 参画開始 | — |
面談の日程が夕方以降になることが多かったのは、こういう事情もあります。日中は会社の仕事があったからです。
⚠️ この「49日前」は、1社の担当者から聞いた説明です。すべてのエージェントに共通するルールとして確認したわけではありません。
ただ、早く登録しても、案件そのものが出てこない時期があるという点は、知っておく価値があると思います。私は「もっと早く動けばよかった」と考えがちでしたが、4月の時点で焦っても、紹介できる案件がまだ無かった可能性があります。
一方で、登録・経歴書の作成・カウンセリングは、案件が出る前にできます。 私も3月末にはカウンセリングを受けていました。案件が出るタイミングを待つあいだに、準備を終わらせておくのが現実的だと思います。
エージェントが開始月の何か月前から動いているかは、フリーランスの案件はいつから探す?に書きました。逆算して動き出す時期を決められます。
複数社へ相談しても、面談が決まらなかった
退職の手続きを進めながら、複数のフリーランスエージェントに登録し、経歴書を提出しました。
しかし最初の1か月以上、企業との面談まで進みません。経歴書を出しても、その先へつながらない状態が続きました。
「3年以上あれば大丈夫」という説明が間違っていた、と言いたいわけではありません。実務経験の年数は、案件を紹介してもらうための条件のひとつです。
ただ、年数を満たしていても、経歴書が案件に合っているとは限りません。 この2つは別のことでした。
最終的に、テックビズ経由で面談が決まります。2023年7月から、月収60万円の案件へ参画しました。探し始めてから、1か月以上が過ぎていました。
なぜ決まらなかったのか
当時は理由が分かりませんでした。2回目の案件探しを経験したいま振り返ると、4つの要因が重なっていたと思います。
経歴書が弱かった
いちばん大きかったのは、経歴書です。
私は組み込み系の現場で働いてきました。ただし実際の業務には、Web開発も含まれています。当時の経歴書は、その部分を十分に説明できていませんでした。
何を作ったのか。どの工程を担当したのか。どの技術を業務で使ったのか。こうした具体が足りず、経歴全体が組み込み寄りに見える状態でした。
経験年数があっても、応募先が知りたい経験を読み取れなければ、書類審査は通りません。当時の経歴書は弱かった、というのが今の実感です。
希望単価が、当時の経歴と釣り合っていなかった
案件を探し始めた時点で、私には希望する金額がありました。
しかし経歴書から伝わる経験と希望単価が釣り合わなければ、候補になる案件は減ります。決まらない期間が続くなかで、私は希望額を少しずつ見直しました。
ただし、下げれば必ず決まるわけではありません。 単価を変えても決まらない時期はありました。必要だったのは、自分の希望と、経歴書から伝わる経験が釣り合っているかを確認することです。
やりたい仕事と働き方を、狭くしすぎていた
希望する技術、稼働日数、リモートの頻度。条件を増やすほど、候補になる案件は減っていきます。
希望を持つこと自体は問題ではありません。ただし、すべてを必須にすると、紹介できる案件がほとんど残らなくなります。
決まらない期間が続くうちに、私は条件を仕分けるようになりました。譲れないものと、調整できるもの。この2つを分けたのです。
案件の需要とタイミングが合わなかった
自分では変えられない要因もあります。
案件には、募集が増える時期と少ない時期があります。急募が出ることもあれば、希望に近い案件がしばらく出ないこともあります。
私の最初の案件も、希望条件を見直した直後に、計画どおり決まったわけではありません。探し続けているうちに急募が出て、そこへ進んだ結果です。
だから、決まらない理由をすべて自分の能力不足に結びつける必要はありません。
2年後の案件探しで変えたこと
2025年3月、1件目の契約延長が終わりました。もう一度、案件を探すことになります。次が決まるまでにかかったのは、約5週間でした。
期間だけを見ると、2023年の「1か月以上」とほとんど変わりません。2年近く経験を積んだから、すぐ決まったわけではありませんでした。
違ったのは、商談までの進み方です。2023年は、最初の1か月以上、企業との面談まで進みませんでした。2025年も、約5週間の最初の数週間は商談まで進んでいません。その間に経歴書と希望条件を何度か見直し、数回目の経歴書の修正後から、複数の商談が組まれるようになりました。
経歴書の修正だけが理由だったとは断定できません。案件が出た時期や希望条件も影響したはずです。ただ、修正の前後で商談までの進み方が変わったことは事実です。
組み込みの現場でしていたWeb開発を書き直した
私が働いていたのは、組み込み系の製品を開発する現場です。製品本体には、C言語やJavaを使っていました。
それと並行して、製品の管理システムやビルドシステムも開発しています。C言語やJavaはコンパイルが必要なので、その工程を支えるシステムは業務上とても重要でした。
これらは、製品の開発者が使うWebシステムです。私はDB設計、API設計、UI設計まで担当していました。
今振り返れば、どう考えてもWeb開発です。 組み込み製品とWebシステムの両方を作る、少し変わった立ち位置にいました。
ところが当時の私は、自分を「組み込み系のエンジニア」だと思い込んでいました。だから経歴書には、C言語やJavaを使った製品開発を詳しく書き、管理システムやビルドシステムはさらっと流していたのです。
2回目の案件探しでは、ここを書き出しました。管理システムやビルドシステムで何をしたのか。DB、API、UIについて、どこまで設計し、どこまで開発したのか。すべて具体的に整理しました。
新しい経験を足したわけではありません。すでにしていたWeb開発を、相手が判断できる形に書き直しただけです。
なぜ自分の経歴が組み込みに見えていたのか、同じズレが起きていないかをどう点検するかは、組み込みエンジニアのWeb系転向|転職せずにWeb案件へ移った記録にまとめました。
出社できることを先に伝えた
働き方の条件も変えました。
2025年は、リモートにこだわりませんでした。出社できることを最初に伝えています。働き方の候補を広げれば、紹介を受けられる案件も広がると考えたためです。
ただし、すべての条件をなくしたわけではありません。開発の仕事をしたい。この点は譲らず、はっきり伝えました。
条件を下げたというより、譲れるものと譲れないものを分けたという表現のほうが近いです。
出社形態には段階があり、どこに立つかで紹介の数が変わります。そのあと条件を戻せた経緯も含めて、フリーランスエンジニアのフルリモート案件は少ない?に書きました。
希望する言語を途中で変えた
探し始めた時点では、Javaの案件を希望していました。その後、担当者へ相談し、Pythonの案件を希望するように変えています。
一度伝えた条件を、守り続ける必要はありません。 案件を見たり担当者と話したりするなかで、自分の経験や市場の状況に合わせて変えていいと思います。
最終的に、レバテックフリーランス経由でPythonの案件が決まりました。
変えられるものと、変えられないもの
2回の案件探しを並べると、こう分けられます。
| 自分で変えられるもの | 自分では変えられないもの |
|---|---|
| 経歴書に書く内容 | 案件が出る時期 |
| 希望する単価 | 企業側の需要 |
| 技術や働き方の希望条件 | 急募が発生するかどうか |
| 担当者への相談や連絡 | 他の候補者との比較 |
| 相談するエージェントを増やすこと | 選考結果が出るタイミング |
変えられるものは見直す。それでも決まらないときは、変えられない要因もあると理解して待つ。私がしたのは、この繰り返しでした。
複数のエージェントへ相談したのも、どこか一社が必ず決めてくれると期待したからではありません。触れられる案件とタイミングを、少しでも増やすためです。
独立前に確認しておきたかったこと
いまの自分が独立前に戻れるなら、「案件には困らないか」だけでは終わらせません。次のことを確認します。
- 現在の経歴書で、実際に紹介できる案件があるか
- 書類審査や商談まで進めるか
- 希望条件のうち、案件を減らしているものはどれか
- 決まらなかった場合、どの条件から見直すか
- 参画したい月の案件は、いつごろから出てくるのか
最後の項目は、退職日を決めるときに効いてきます。案件が出る時期より早く辞めてしまうと、収入のない期間が延びるからです。担当者に聞けば教えてもらえます。
私の場合、案件探しは在職中に進められました。面談も夕方以降に設定してもらえています。
つまり、確かめる時間はあったのです。 私が使わなかっただけでした。退職を決める前に、登録や相談だけで終わらせず、実際の提案や商談まで進むかを見ておけばよかったと思います。
まとめ
私には3年以上の実務経験がありました。それでも独立直後、1か月以上どこも決まりませんでした。
経験年数は入口の条件にすぎません。その年数のなかで何をしてきたのかを経歴書で伝え、希望条件と案件の需要が噛み合って、はじめて商談へ進みます。
私が変えたのは、経歴書の内容と条件の伝え方です。一方で最終的に決まったのは、急募のタイミングと合ったことも大きかったと思います。
希望を変えれば決まるとも、待てば決まるとも言い切れません。 変えられるものを見直しながら、複数の場所で機会を増やす。その途中で、私の最初の案件は決まりました。