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フリーランスエンジニアと会社員の年収を実額で比較|402万円と737万円の中身

会社員時代とフリーランスの年収を実額で比べた記録です。会社員フル年の平均は約419万円、フリーランスは2025年で737万円でした。月70万円のときに税金と社会保険へ毎月いくら取り分けているかも公開します。

「フリーランスになると年収はどう変わるのか」を調べると、シミュレーションばかりが出てきます。年収600万円の会社員が独立したら、という形の試算です。

私は会社員とフリーランスの両方を経験しました。この記事では、その実額を並べます。

ただし先に言っておくと、この2つは同じ土俵の数字ではありません。 さらに言えば、会社員と個人事業主の手取りを同じ枠で比べること自体が違うというのが、両方を経験しての結論です。そこが本題です。

会社員とフリーランスの年収

会社員としてフルで働いた年は、2019年から2022年の4年間です。

  • 4年の平均は約419万円
  • そのうち 2020年は402万円

この記事で比較に使うのは、2020年の402万円です。正確には4,021,968円で、残業代と賞与を含む額面年収です。

なぜこの年かというと、フル年のなかで最も低い年だからです。自分に都合よく低い年を選んでいると思われるかもしれませんが、逆です。比較の分母を小さくすれば倍率は大きく見えます。だから平均も一緒に出しました。 4年平均の419万円と比べたい人は、そちらで見てください。

独立したのは2023年です。フルで稼働した年は次のとおりです。

金額
2024年 707万円
2025年 737万円

2020年の402万円と2025年の737万円を並べると、1.83倍になります。

この数字を、単純には比べられない理由

理由は2つあります。

額面と売上は、中身が違う

会社員の402万円は「額面年収」で、フリーランスの737万円は「売上」です。 名前が違うだけでなく、中身が違います。

売上からは、これから経費・税金・社会保険料が引かれます。会社員のときは、社会保険料も所得税も給与から引かれた状態で振り込まれていました。引かれる前と引かれる前で揃えてはいますが、引かれるものの量が違います。

だから 1.83倍という数字は、生活が1.83倍豊かになったという意味ではありません。

5年のあいだに変わったのは、独立だけではない

402万円だった2020年と、737万円だった2025年のあいだには5年あります。その間に実務経験が増え、担当する役割も変わりました。案件の単価も、参画した時期の市場によって違います。

「独立したから増えた」と切り分けることは、私にはできません。 会社員のまま5年働いていたら年収がどうなっていたかは、誰にも分かりません。

単価をどう上げたかについては、レバテックフリーランスの単価交渉で月68万→70万円になった実例に、実際にやったことを書いています。

税金と社会保険に、毎月13万円を取り分けている

では、売上から何が引かれるのか。月70万円の報酬に対して、私が取り分けている金額を出します。

項目 月あたり
所得税 45,000円
住民税 30,000円
国民年金 17,920円
健康保険 40,000円
合計 132,920円

報酬の約19%です

⚠️ ひとつ補足があります。これは毎月払っている金額ではありません。

私の場合、所得税は予定納税で2回払い、確定申告のあとに残りを1回払うので年3回です。住民税は年4回、健康保険は10回に分けて納めています。年間の支払額を12で割って、毎月取り分けているのがこの数字です。

支払いの回数は、条件や住んでいる自治体によって変わります。特に国民健康保険は自治体ごとに違い、8回・9回・10回などの分け方があります。所得税の予定納税も、前年の税額が一定以上の人が対象です。自分の場合どうなるかは、自治体や税務署の案内で確認してください。

会社員のときは給与から毎月引かれていたので、自分で取り分ける必要はありませんでした。独立するとまとまった額の請求が年に数回来るので、月ごとにならしておかないと支払いのときに困ります。

金額そのものも変わりました。所得税・住民税・健康保険の3つは、収入が増えたぶん大きく増えています。 一方で国民年金は定額なので、収入が増えても変わりません。独立して収入が増えても、増える部分と増えない部分があるということです。

手取りは増えました。ただし金額は出しません

正直に書くと、手取りでいっても会社員時代よりだいぶ増えました。

ただしこの記事では、その金額を並べていません。私の手取りは、私の経費の使い方まで含めた結果だからです。経費の判断が違えば、同じ売上でも手取りは変わります。

出せるのは、報酬70万円に対して税金と社会保険で約19%を取り分けているという一点までです。

そして、この「経費の使い方」が、思っていた以上に効きました。

経費を見直したら、3つとも下がった

所得税・住民税・国民健康保険料は、別々の制度です。それでも私の場合、経費の計上を見直したら3つとも下がりました。

理由は、出発点が同じだからです。事業の所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算されます。この所得が、3つそれぞれの計算の入り口になります。

何が決まるか 計算の入り口
所得税 所得から所得控除を引いた課税所得
住民税(所得割) 前年の所得から所得控除を引いた額
国民健康保険料(所得割) 前年の総所得金額等から基礎控除を引いた額

必要経費として計上できるものを漏らさず計上すると、所得が下がり、3つの入り口がまとめて下がります。

住民税と国民健康保険料が前年を見ているのもポイントです。今年の申告が翌年に効いてきます。 私が「所得税が下がったら、翌年の住民税と保険料も下がった」と感じたのは、これが理由でした。

⚠️ ただし3つは同じ計算ではありません。たとえば国民健康保険料では、扶養控除や社会保険料控除といった所得控除は使われません。共通しているのは「所得」までで、そこから先は制度ごとに違います。

会社員と一番違うのは、ここを自分で動かせること

会社員のときは、税金も社会保険料も給与から引かれた状態で振り込まれていました。金額を自分で動かす余地は、ほとんどありません。

個人事業主になって一番変わったのは、ここに自分で関われるようになったことだと思っています。何が必要経費にあたるのかを学び、税理士に相談すれば、どこまで計上してよいかが分かります。その結果として所得が下がり、3つとも変わります。

だから、仮に会社員のときと同じ年収だったとしても、経費を知っているかどうかで手元に残る金額は変わってきます。

私は独立1年目、ここを自分で判断できませんでした。テックビズを1年9か月使った評判に書いたとおり、テックビズの税務サポートで見てもらえたのは、そういう意味で大きかったです。その仕組みはテックビズの記帳代行を1年9か月使った流れに書いています。

⚠️ 何が必要経費になるかは、事業の内容によって変わります。 この記事は私の場合の話です。判断は税理士や税務署に確認してください。

だから、手取りを同じ枠で比べるのが違う

ここまで書いてきて、いま私がいちばん強く思っているのはこれです。会社員の手取りと個人事業主の手取りを、同じ枠に入れて比べること自体が違う。

手取りの形は、どちらも同じです。

収入 −(経費)−(税金と社会保険)= 手取り

違うのは、引かれる側に自分が関われるかどうかです。

経費 税金と社会保険
会社員 触れない 触れない(引かれた状態で振り込まれる)
個人事業主 自分で判断して計上する 経費を通じて間接的に動く

だから、会社員の400万円と個人事業主の400万円は、同じ400万円ではありません。 個人事業主のほうは、経費をどこまで理解しているかで引かれる額が変わり、手元に残る金額が変わります。同じ売上でも、人によって手取りが違うということです。

ここから先は私の解釈ですが、個人事業主の手取りの話は、最後は「経費をどれだけ学んでいるか」に行き着くと思っています。

だから「フリーランスは会社員の何倍稼げば同じか」という問いに、私は一つの答えを出せません。稼ぐ額の問題と、引かれる側をどれだけ理解しているかの問題が、混ざっているからです。

独立して減るのは、手取りではなく保証だった

もう一歩進めます。私には、そもそもこの問いの立て方がずれているように見えます。

経費を理解していれば、同じ400万円でも個人事業主のほうが手元に残る額は多くなりえます。 だとすれば、独立して減るものは手取りではありません。

では何かというと、仕事が続く保証のほうです。

私がいま参画している案件の契約は、初回1.5か月、その後は3か月ごとの更新です。つまり確実に決まっているのは、次の更新までの期間でしかありません。会社員のときは、雇用が続く前提で数年先の生活を考えられました。ここが一番大きな違いだと思っています。

なお、更新が3か月ごとであることと、案件が3か月で終わることは別の話です。私は同じ案件に1年以上参画しています。その仕組みはレバテックフリーランスの契約期間は?最初は1.5か月、その後は3か月ごとの更新に書きました。

心配があるとすれば、年齢のほう

ここから先は私個人の感想です。

不安があるとすれば、50歳を過ぎても仕事があるのかという点です。いまは案件が決まっていますが、年齢が上がったときに同じように取れるのかは分かりません。

ただ、私はそこまで悲観していません。会社員のときより多く稼げているぶんを、貯蓄と資産形成に回しているからです。収入が途切れる可能性があるなら、その前提で備えておけばいい、と考えています。

これも私の考え方であって、誰にでも当てはまるものではありません。ただ、比べるなら手取りの額ではなく、保証されている期間と、それにどう備えるかだろうというのが、いまの私の結論です。

まとめ

私の実額はこうでした。

  • 会社員フル年(2019〜2022)の平均は約419万円。うち2020年は402万円
  • フリーランスは 2024年707万円、2025年737万円(どちらも売上)
  • 402万円と737万円を並べると1.83倍
  • ただし額面と売上は同じ土俵ではない。生活が1.83倍になったという意味ではない
  • 月70万円の報酬に対して、税金と社会保険で月132,920円(約19%)を取り分けている
  • 増えたのは所得税・住民税・健康保険の3つ。国民年金は定額で変わらない
  • 所得税が下がると翌年の住民税と健康保険も下がる。 3つとも入り口が「所得」だから
  • 会社員と個人事業主の手取りを同じ枠で比べるのは違う。 引かれる側に自分が関われるかどうかが違う
  • 独立して減るのは手取りではなく、仕事が続く保証のほう。 いまの契約は初回1.5か月、その後は3か月ごとの更新で、確実なのは次の更新まで

シミュレーションより実額のほうが役に立つ場面はありますが、実額にも当てはまらない部分があります。 同じ売上でも、経費をどこまで理解しているかで手元に残る額は変わります。自分の場合どうなるかを本気で知りたいなら、最後は自分の数字で見るしかない、というのがいまの実感です。

独立してからの経緯は会社員からフリーランスになった全記録に、毎月の会計処理をどうしていたかはテックビズの記帳代行を1年9か月使った流れにまとめています。年収ではなく1時間あたりで見るとどうなるかは、フリーランスエンジニアの時間単価に書きました。