フリーランスの報酬は、月額で提示されます。月60万円、月68万円という形です。
ただ、その金額が何時間分なのかは、契約を見ないと分かりません。 同じ月60万円でも、想定されている稼働時間が違えば、時間あたりの金額は変わります。
1日8時間で月20営業日なら160時間です。まずここで割ってみると、条件を比べられるようになります。
この記事では、独立前にエージェントが出してくれた試算と、いま参画している案件の契約を時給に直した数字を書きます。
先に結論
- 基準は 1日8時間 × 月20営業日 = 160時間。月額 ÷ 160時間で考えると分かりやすい
- 週5で月60万円なら、3,750円。 当時聞いた相場は 4,000〜4,500円なので、相場の範囲に収まっている
- ところが同じ月60万円でも、週4だと約4,700円(128時間)。日数を1日減らすだけで約940円上がる
- 週3で月50万円なら約5,200円(96時間)。ここまで来ると相場を明確に超える
- 私の契約(月68万円)は、160時間なら 4,250円
- 稼働日数を減らすほど、必要な時間単価は上がる。「週3は難しい」の中身はこれでした
時給は「月額 ÷ 160時間」で考える
月額だけを見ていると、分かるのは「いくらもらえるか」だけです。その金額を得るために何時間必要なのかは出てきません。
まず基準を作ります。週5・1日8時間・月20営業日とすると、月の稼働は160時間です。
8時間 × 20営業日 = 160時間
月60万円 ÷ 160時間 = 3,750円
月60万円は、時給に直すと3,750円。 これが出発点になります。
実際の契約には清算幅という下限と上限が付くことが多く、「月140時間から180時間」のような形で書かれています。そのため厳密には幅が出ますが、まず160時間で割ってみると、条件を並べて比べられるようになります。
エージェントがその場で出してくれた試算
2023年5月、独立の準備をしていたときの話です。ITプロパートナーズの担当者と電話で条件をすり合わせました。
このとき私が伝えた希望はこうです。
- 稼働は週3〜4
- 希望報酬は月50〜60万円
これに対して、その場で試算を出してもらいました。稼働日数が減ると想定時間も減るので、割り算の分母が変わります。
| 稼働 | 月額 | 想定時間 | 時間単価 |
|---|---|---|---|
| 週3 | 50万円 | 96時間(8時間 × 12日) | 約5,200円 |
| 週4 | 60万円 | 128時間(8時間 × 16日) | 約4,600〜4,700円 |
あわせて、当時の相場として4,000〜4,500円という数字も聞いています。
2023年5月に、一人の担当者から聞いた話です。 職種や時期で変わるはずなので、そのつもりで読んでください。
週3が難しい理由は、精神論ではなかった
さきほどの基準(週5・160時間)と並べると、何が起きているかがはっきりします。
| 稼働 | 月額 | 想定時間 | 時間単価 |
|---|---|---|---|
| 週5 | 60万円 | 160時間 | 3,750円 |
| 週4 | 60万円 | 128時間 | 約4,700円 |
| 週3 | 50万円 | 96時間 | 約5,200円 |
当時聞いた相場は 4,000〜4,500円でした。この幅と照らすと、週5の3,750円は範囲に収まっています。週4の約4,700円は上限を超え、週3の約5,200円は明確に超えます。
同じ月60万円でも、週5なら3,750円、週4だと約4,700円です。 稼働を1日減らしただけで、必要な時間単価が約940円上がります。週3で月50万円に至っては、相場の上限を700円ほど超えます。
つまり、月額の希望を変えていなくても、日数を減らした時点で「相場より高い人」になるということです。出せる案件が無いわけではないと思いますが、当然、候補は絞られます。
「週3は難しい」と言われる理由は、気持ちの問題でも交渉力の問題でもありませんでした。希望の日数と希望の月額を並べた時点で、必要な時間単価が決まってしまうという、割り算の話です。
担当者からは、こうも言われました。
- いずれにしても週5のほうが求められる傾向がある
- 「週3でもよい、週4でもよい」と柔軟な姿勢を示すと、企業が案件を切り出しやすくなる
別のエージェントでも、近いことを言われています。レバテックフリーランスのカウンセリングで聞いたのは、週2〜3で取れるのは実務10年以降という基準でした。導入支援やコンサルなど、職種自体が変わるという説明です。そのときの記録はレバテックフリーランスのカウンセリングを受けた記録に書きました。
別々の会社が、別々の言い方で同じところに着いていたというのが、私にとっては大きかったです。
私の契約を時給に直すと
いま参画している案件の契約は、こうなっています。
- 月額 68万円
- 清算幅 140〜180時間
その後の交渉で月70万円になりましたが、ここでは契約の条件と対で確認できる68万円のときの数字を使います。
同じように160時間で割ると、こうなります。
月68万円 ÷ 160時間 = 4,250円
契約には清算幅があるので、実際には幅の中で動きます。
| 稼働時間 | 時間単価 |
|---|---|
| 140時間(下限) | 約4,857円 |
| 160時間(基準) | 4,250円 |
| 180時間(上限) | 約3,778円 |
同じ月68万円でも、働いた時間しだいで1,000円以上ぶれます。
なお、この上下の数字は契約書に書かれている超過単価・控除単価とそのまま一致していました。 私は月額を割った推定値のつもりで出しましたが、契約の実額と同じでした。その経緯と、超過と控除で単価が違う話はフリーランスの作業報告書に書いています。
注意点を1つ書いておきます。これは契約の清算幅から割った数字であって、実際の稼働時間の平均ではありません。私は実稼働時間の平均を記録していないので、そこは出せません。
ただ、1年以上参画して下限を割って減額された月は一度もなく、上限を超えたのは1回だけでした。入金の実績はレバテックフリーランスの振込日はいつ?15回中5回は15日より早く入ったに全部載せています。
時間単価で見ると、条件の動かし方が変わる
ここまでの数字を並べると、一つのことが見えてきます。
稼働日数を減らすと、必要な時間単価は上がります。 これは、条件を下げているつもりで、実際には上げているということです。日数を減らすほど案件が減るのは、そのためだと考えています。
私自身、案件が決まらなかったときに動かしたのは稼働日数ではなく、出社の条件でした。そちらのほうが効いています。その記録はフリーランスエンジニアのフルリモート案件は少ない?に書きました。
そして、時間単価そのものを上げたいのであれば、日数ではなく単価に手をつけることになります。私は参画中の案件で月68万円から70万円への交渉をしました。そのとき提出した資料の組み立てはレバテックフリーランスの単価交渉で月68万→70万円になった実例にまとめています。
この数字の限界
正直に書いておきます。
- 160時間は基準であって、実際の稼働ではありません。 営業日は月によって19日や21日になりますし、清算幅もあります
- 相場の 4,000〜4,500円は、2023年5月に一人の担当者から聞いた話です。いまの相場ではありません
- 週3・週4の試算は、私の希望額をもとに出してもらったもので、実際に提示されたオファーではありません
- 私の時間単価は、契約の金額を割ったものです。実稼働の平均ではありません
それでも、自分の月額を160時間で割ってみるという作業自体は、契約書があれば誰でもすぐできます。
まとめ
- 基準は 1日8時間 × 月20営業日 = 160時間。月額 ÷ 160時間で考える
- 週5で月60万円なら3,750円。当時聞いた相場 4,000〜4,500円の範囲に収まっている
- 同じ月60万円でも、週4なら約4,700円(128時間)。1日減らすだけで約940円上がる
- 週3で月50万円は約5,200円(96時間)で、相場を明確に超える
- 私の契約(月68万円)は、160時間なら 4,250円
- 日数を減らすことは、必要な時間単価を上げることでもある
月額で提示されると、金額の大小しか見えません。160時間で割ると、その条件が相場のどこにあるかまで見えてきます。 私は独立前にこれを見せてもらえたことで、希望条件の出し方を組み立て直せました。
独立してからの金額の推移は会社員からフリーランスになった全記録に、年収の内訳はフリーランスエンジニアと会社員の年収を実額で比較にまとめています。